「シャンプーをきちんとしているのに、フケが出る…」
と悩んだことはありませんか。
実はフケは誰にでも起こりうるもの。
ストレスや生活習慣、間違ったヘアケアで増えることがあります。
フケは正しい方法で毎日ケアすることが重要です。
そこでフケの原因に合ったシャンプーの選び方、ケア用品を詳しく解説します。
フケを改善したい方は、チェックしてみてください。

やさしい美容皮膚科・皮フ科 秋葉原院 院長
宇井千穂 先生
2019年 やさしい美容皮膚科・皮フ科 秋葉原院 開院
開院前は銀座のクリニックにて、美容診療を診察。
また皮膚科医として、アトピー性皮膚炎を中心とした皮膚疾患を診療する。
本や雑誌の執筆をはじめ、web雑誌での連載やサプリメント・化粧品の監修など、多方面で活躍中。
一人ひとりのことを考えた真摯な診療が厚く支持されています。
》「やさしい美容皮膚科・皮フ科 秋葉原院」公式サイト
》Blog
【所属学会・認定医など】
【著書】
- かもがわ出版「18トリソミーはるの」
- 南山堂・治療「シネメデュケーション:映画医療教育」連載 など
フケの正体は古い頭皮!髪を洗った直後に出るのはなぜ?
そもそもフケの正体は、古くなった頭皮の角質。
実は頭皮も肌と同じように、ターンオーバー※によって一定のサイクルで新しい表皮と入れ替わっています。
このときに垢(あか)として剥がれ落ちる古い角質が「フケ」です。
(※参考:頭皮のターンオーバーがトラブルを解決する!髪と地肌を健やかに保つヘアケアと生活習慣を解説)
フケは誰にでも出るものですが、通常は小さく目立たない程度。
健康な状態ならシャンプーで取り除けるため、フケが出ているとわかりません。
ただ代謝が乱れて頭皮の状態が悪くなると、大量に発生する場合があります。
頭皮を守る皮脂が何かの理由で多くなったり、少なくなったりするためです。
「シャンプーをしっかりしていても、フケがでる」という方は、ケア不足であることがほとんど。
まずはフケの原因をしっかり把握しましょう。
【フケが出る理由】ストレスやシャンプーが原因?種類で異なる
フケの原因は、大きく分けて乾燥・皮脂過多の2つがあります。
見た目でどちらのタイプかを判断することが可能です。
※フケタイプをタップすると詳細にスクロールします。
フケタイプ | 特徴 | 主な原因 |
乾燥フケ | 白くカサカサ | 乾燥 |
脂性フケ | 黄色くねっとり | 皮脂過多 |
乾燥フケ(小さいフケ):頭皮の乾燥
カサカサした白っぽいフケの原因は乾燥。
頭皮を守る皮脂が少なすぎると免疫力が低下し、代謝が乱れてしまいます。
代謝が乱れることによって、ターンオーバーの正常化が図れなくなった場合に起こるのが、乾燥フケの正体です。
もともと乾燥肌の方も、乾燥フケになりやすい傾向があります。
ただ頭皮の乾燥は、主に生活習慣によって引き起こされることがほとんどです。
- 洗浄力の強いシャンプーの使用
- 過度な洗髪
- 空調の効いた部屋に長時間いる
- 紫外線に直接あたることが多い
- ストレスが多い
- 感染症である
特に多いのが、洗浄力の強いシャンプーで必要な皮脂まで洗い流すこと。
500円前後の安価なシャンプーは、洗浄力が強すぎるので使用を控えるべきでしょう。
(参考:シャンプーの界面活性剤は体に悪い?洗浄成分で見極めるやさしいシャンプーの選び方)
逆に洗浄力のやさしいシャンプーを使っていても、汚れ落ちを気にして2度洗いするとフケを増やしかねません。
また「紫外線に長時間あたる」など、乾燥しやすい環境にいる方も注意してください。
脂性フケ(大きいフケ):皮脂や菌の増殖
黄色っぽいねっとりしたフケは、皮脂の過剰分泌が原因。
そもそも皮脂の過剰分泌は、頭皮の汚れが原因です。
- シャンプー、皮脂のすすぎ残し
- 整髪料が落としきれていない
- 頭皮の病気(感染症など)
- ホルモン分泌
- ビタミン代謝の異常
- 皮脂腺の機能異常
汚れが毛穴に詰まって皮脂が出過ぎると、皮脂をエサにする菌が増殖。
菌によって頭皮が刺激を受けて、代謝が遅れてしまいます。
本来落ちるはずの皮脂が汚れと混ざり合って、ベタベタしたフケになるというワケです。
「もともと脂性肌ぎみ」
「思春期の頃にニキビがでよくできていた」
という方は、脂性フケが出やすい傾向がありますよ。
乾燥のしすぎで脂性フケになる、インナードライにも要注意。
極度に頭皮が乾燥すると、正常な状態に戻そうと頭皮に皮脂を出します。
その皮脂が過剰分泌されることで、ベタベタした脂性フケになってしまうんですね。
頭皮だけやたらベタつく…という方は、”隠れ乾燥タイプ”も疑うべきでしょう。
大量のフケはすぐに皮膚科を受診するのがおすすめ
乾燥・脂性に関わらずフケが大量に出ている場合は、病院で相談しましょう。
「フケで病院?」と思うかもしれません。
しかし実は皮膚炎だった、ということも考えられます。
当てはまるものはあるか、チェックしてみてください。
※タップで詳しい症状をチェックできます。
セルフケアの改善は難しいので、状態が悪化する前に早めに受診しましょう。
【止まらないフケの対策】ヘアケアの見直しが改善のカギ
フケがとまらないときは、自分のフケタイプにあった成分でのケアがポイントです。
下記を参考に、毎日コツコツとフケ対策をしてみてください。
- 頭皮クレンジングで栄養が届く頭皮環境に準備する
- 刺激の少ないアミノ酸シャンプーで洗う
- 洗髪後はローション・トニックで頭皮を刺激から守る
頭皮クレンジングで汚れを落とす
まずは頭皮クレンジングでフケを取り除くのがベター。
普段落としきれない皮脂汚れや、取り切れないフケをキレイにしてくれます。
頭皮クレンジングは、フケタイプに合わせて成分を選ぶと効果大。
フケタイプ | おすすめ成分 |
乾燥 | ホホバオイル オリーブオイル |
脂性 | ココナッツオイル |
乾燥タイプは保湿効果のあるホホバオイル・オリーブオイルがおすすめです。
オイルはベタついて苦手…という方は、ミルクタイプも使うのもアリですよ。
脂性肌は、菌を増加させないココナッツオイルが効果的です。
殺菌力が高いので、雑菌や細菌から素肌を守り、清潔に保ってくれます。
頭皮クレンジングのやり方
髪を濡らす前に500円玉ほど出して、マッサージするように地肌になじませればOK。
ただし、やりすぎると頭皮を守る皮脂までも奪う可能性も…。
週に1回のスペアシャルケアとして使うだけで、十分効果を期待できます。
また頭皮トラブルを避けるために、髪専用のクレンジングを使ってくださいね。
原因別にアミノ酸シャンプーを使い分ける
フケが出ているときは刺激の少ないアミノ酸シャンプーがおすすめです。
先述のとおり、洗浄力の強すぎるシャンプーの使用はフケの原因の1つ。
アミノ酸シャンプーはやさしい洗浄力で、余分な皮脂や汚れだけを取り除いてくれます。
成分表の先頭に「ココイル~」「ラウロイル~」とあれば、アミノ酸系です。
ただし、乾燥タイプのフケ・脂性タイプのフケで選ぶべき成分が変わります。
(関連:敏感肌にはアミノ酸シャンプーがおすすめ!安くても効果のある成分と選び方をチェック!)
シャンプー後のすすぎは時間をかける
すすぎは髪を洗った時間の2倍、毛穴をすすぐようにしてください。
特にシリコン入りのシャンプーを使っている人は要注意。
洗浄成分が頭皮に留まりやすいので、すすぎ残しになりやすいです。
しっかり洗い流せているのか不安な方は、ノンシリコンシャンプーを使ってみてください。
(参考:ノンシリコンシャンプーのメリット・デメリットから合わない髪質や選び方をチェック!)
ローション・トニックで頭皮環境を整える
フケの改善には、入浴後に頭皮のローション・トニックをつけるのも必須です。
洗髪後は皮脂が取り除かれているので、刺激を受けやすい状態。
ローション・トニックでケアすることで、刺激による代謝の乱れを防いでくれます。
ローション・トニックは、フケの原因別にタイプを使い分けるのがベター。
- 乾燥フケ…保湿力のあるオイルタイプ
- 脂性フケ…さっぱり感の化粧水タイプ
(関連:詳しい頭皮ローションの選び方はコチラ)
しっかりとタオルドライして直接頭皮に塗布し、揉みこむように馴染ませてください。
フケと他の症状がでているとき
フケと共に他の症状があるときは、以下の成分が有効です。
- かゆみ(炎症)
→【ヒスタミン】かゆみを抑える - 抜け毛(ターンオーバー不良)
→【ニコチン酸アミド】皮脂や粘膜を正常に保つ - あかみ(アレルギー)
→【リチルレチン酸ジカリウム】炎症を抑える
ただし1週間ケアしても改善しなければ、皮膚科を受診してくださいね。
フケの予防は「生活習慣の改善」がカギ
フケの発生を繰り返さないためには、免疫を上げる生活を心がけましょう。
頭皮を守る力が高まり、健康な状態をキープできますよ。
日頃からの心がけは大事ですが、あまり神経質にならずに、できることから改善してくださいね。
フケに関するQ&A
Q1.子ども、中学生のフケの原因は?
A.代謝が活発なため、皮脂汚れや汗が主な原因です。
Q2.フケが出ると抜け毛やはげになる?
A.ハゲや抜け毛とは直接関係はありません。ただ頭皮環境が悪化して、髪の成長に妨げがでることがあります。
Q3.フケの原因は男性・女性で違う?
A.男女の違いはありません。しかし、女性は乾燥・男性は皮脂過多が原因なことが多い傾向です。
フケが出ていると人からの視線が気になったり、精神的に落ち込んでしまったりすることもありますよね。
また1度おさまったとしても、繰り返すことが多いのも困ったところ。
フケを根本的に改善するには、ヘアケアと生活習慣の改善の両面からが効果的です。
※タップで逆スクロールします。
- フケタイプに合わせたケア方法
→頭皮クレンジング・シャンプー・ローションでケアする - 生活習慣を見直してフケ予防
→食事・睡眠・ストレス発散方法を見直す
正しいケア方法を身に着けて、快適な頭皮環境を目指しましょう。
参考献文
亀田 宗一
『シャンプーで肌は変わる』
2019.8.5,時事通信社
ジェームズ スカラ
新・実用ビタミン栄養学 (日本語)
1995.7.1, 小学館
独立行政法人 環境再生機構,
【参考資料】食品の選び方
ルベル/タカラベルモント㈱,
『サロンワーク発想だから分かる!基本の毛髪化学』,
株式会社女性モード社,2014,1,24
井奈波良一,
『女性看護師の声を出して笑う頻度と勤務状況,日常生活習慣および職業性ストレスの関係』,
日職災医誌,63:81─87,2015
