コマーシャルやヘアケア用品などでよく耳にする”キューティクル“。
とはいえ、「キューティクルって何?どんなものなの?」
と詳しく知らない方も多いのではないでしょうか。
キューティクルは、髪のコシやツヤを守る美髪に欠かせない存在。
ただとても繊細で、知らずしらずのうちにダメージを与えてしまっていることも多いです。
そこでこの記事では、キューティクルと美髪の関係について詳しく解説。
もちろん、キューティクルを守って美髪を導くヘアケア方法もじっくり紹介しています。
キューティクルのしくみや性質を知って、効率の良く美しい髪を目指しましょう。
【この記事でわかること】
- キューティクルとは何か?髪の毛の仕組み
- キューティクルが傷ついてしまう3つの原因
- キューティクルを守って美髪へ導くヘアケアの手順
そもそもキューティクルとは?
キューティクルとは、毛髪の表面を覆っている保護膜のこと。
そもそも髪の毛は「キューティクル」の内側に「コルテックス」、さらに内側に「メデュラ」と呼ばれる組織による3層構造になっています。
名称 | 階層 | 主成分 | 特徴 |
キューティクル | 表面 | 硬いタンパク質 | うろこ状に重なっている |
コルテックス | 中間 | 繊維状のケラチンタンパク質 | 髪の85〜90%をしめる |
メデュラ | 中心 | 柔らかいタンパク質・脂質 | 髪の毛の太さを左右する |
いわば「のり巻き」のような構造で、「のり部分がキューティクル、ごはん部分がコルテックス、具部分がメデュラ」とイメージするとわかりやすいでしょう。
1番外側にあるキューティクルは、主に紫外線や乾燥などの外部刺激から髪内部を守る役割。
毛根から毛先に向かってたけのこの皮のように5~6枚重なっており、表面が整うことによって髪のツヤやコシを作り出しています。
逆にキューティクルが乱れると、髪内部の水分や栄養が流れ出して絡みやすくツヤのない状態に…。
つまりキューティクルをケアすることは、手触りを良くするなど髪質改善につながるんですね。
キューティクルは1度傷つくと元に戻らない
実は、キューティクルは1度傷つくと元に戻すことができない性質。
髪が皮膚のような治癒力や再生能力を持っていないためです。
実際にキューティクルが壊れてしまうと、髪に痛みとなって現れてしまいます。
触り心地 | 見た目 | 水の吸い方 | |
健康な髪 | ツルツル・指通りが良い | 艶がある | 弾く |
傷んでいる髪 | ガサガサ・髪同士が絡まる | 艶がない | 吸う |
毛髪を触ったときにツルツルしているのが正常なキューティクル。
反対にガサガサと逆立っていれば、傷ついている可能性が高いです。
またダメージを受けた髪は広がりやすく水を吸いやすくなり、乾きにくくなる傾向もあります。
他にも切れ毛やパサつきなど、様々な髪トラブルの原因になりかねません。
- 切れ毛・枝毛
→毛髪が途中でちぎれる・縦に裂ける - パサつき
→毛髪に潤いがなくなり、絡み合ってしまう - 広がり・うねり・くせ毛
→毛髪に不均一にボリュームが出てしまう
ちなみに、ケアできるのは開いた状態のキューティクルだけ。
1度壊れてしまったり剥がれてしまったりすると、残念ながら補修することはできません。
特にキューティクルは熱や摩擦に弱い性質があるので、ヘアケアの見直しが美髪には欠かせませんよ。
キューティクルが傷つく原因は日常の髪ダメージ
熱や摩擦に弱いキューティクルは、ドライヤーやタオルドライなどちょっとした行動で傷みやすいのがネック。
ここでは、キューティクルが傷つく原因を日常生活と照らし合わせてみましょう。
- 短期間に繰り返すヘアカラーやパーマ
- 高温のドライヤーやアイロン、紫外線による熱
- 濡れ髪のままの摩擦や自然乾燥
頻繁なヘアカラーやパーマ
短期間にヘアカラーやパーマを繰り返すのは、キューティクルが傷つく大きな原因です。
そもそもヘアカラーやパーマの薬剤は、キューティクルを無理やり開いて髪の内部に作用するもの。
- ヘアカラー剤・ブリーチ剤
→キューティクルを剥がして内部まで浸透する仕組み。 - パーマ剤・縮毛矯正
→髪内部のアミノ酸※を分解して髪の形を変える仕組み。
(※髪の毛のおもな成分)
キューティクルが無理やり破壊されると、毛髪内部の栄養分・水分が流れ出ます。
そのまま髪が乾燥すると枝毛や切れ毛、うねりなどの髪トラブルに繋がってしまうんですね。
またカラーリングと同じく、パーマや縮毛矯正も強い薬剤。
キューティクルへのダメージが大きいので、短期間に繰り返すのはおすすめできません。
髪の乾燥や傷みを感じたら、「リタッチのみに留める」「施術の頻度を数か月に1度に減らす」など、方法や頻度を工夫するのが理想的ですよ。
ドライヤー・ヘアアイロン・紫外線による熱
高温のドライヤーやヘアアイロン、紫外線などによる熱ダメージも、キューティクルが傷む原因です。
先述のとおり、キューティクルは熱に弱い性質。
熱ダメージを受けるとキューティクルが乱れて、毛髪内部がもろく固い状態に変わってしまいます。
たとえば、卵に熱を通しすぎると、表面がパサパサになり固まりますよね。
卵も髪と同じ、成分の多くがタンパク質。
熱を加えると乾燥してパサつき、固くツヤのない状態になってしまうというワケです。
特にゴワゴワした髪質に悩んでいる方は、下記に当てはまっていないかチェックしてみてください。
- ドライヤーの熱風を近距離で当てる
(20㎝以内) - アイロンやコテを毎日高温・長時間使用している
- アイロンやコテを髪が濡れたまま使用している
- 髪の紫外線対策をせずに屋外で長時間過ごしている
(日焼け止めスプレー・帽子・日傘など対策していない)
こすれなどによる摩擦
ブラッシングや枕などのこすれによる摩擦も、キューティクルを傷つける原因の1つ。
キューティクルは熱の他に、摩擦によって壊れやすい性質を持っています。
髪同士やブラシ、枕などとこすれることによって、めくれたり剥がれたりしてしまうんですね。
また「絡まった髪を何度も強くブラッシング」など、毛髪同士を強くこすってしまう習慣はキューティクルを傷つけかねません。
髪質を改善するためにも、今すぐやめるようにしましょう。
(参考:髪が絡まる原因ってどんなもの?正しい処理と対策のヘアケアで潤う美髪に)
▼就寝中の摩擦防止にはナイトキャップもオススメです。
濡れ髪のときは要注意!自然乾燥はNG
髪が濡れているときの摩擦や自然乾燥には要注意。
- 髪が濡れたまま何度もブラッシングをする
- 濡れている髪をタオルでこするように拭いている
- 髪を乾かさずに濡れたまま寝ている
キューティクルは濡れると開くという性質を持っています。
キューティクルが開いてしまうと、髪はとてもデリケートな状態に…。
乾いているときよりもさらに、ダメージを受けやすくなってしまうんですね。
毛髪は濡れていると、乾いているときよりも髪が柔らかく、こすれたり引っ張る、より小さい力で最表面のうろこ状のキューティクルが削れたり剥がれたり、髪が伸びきったりします。
(出典:花王株式会社ヘアケアサイト)
自然乾燥は乾いたつもりでも、内側などしっかり乾ききっていないことが多いです。
そのため半乾きのままブラシや枕で髪をこすることに…。
ダメージを防ぐためにも、ドライヤーで髪をしっかり乾かすのが必須ですよ。
キューティクルを守るヘアケアの手順
キューティクルを守るには、正しい方法でヘアケアを続けるのが大前提。
いくら高級なヘアオイルやトリートメントを使っていても、髪質に合わないアイテムや方法ではキューティクルは傷み続けます。
まずはしっかりと手順を見直して、髪のダメージを予防していきましょう。
- トリートメントやシャンプーで髪の内部からケア
- やさしく丁寧にタオルドライ・ブラッシングする
→ヘアオイルやヘアクリームで外側から保湿 - ドライヤーを正しく使って髪を乾かす
①トリートメントやシャンプーで毛髪内部から整えて保湿する

キューティクルを保護するために、まずは高保湿シャンプーに切り替えてみましょう。
なかでも、髪の保湿に特化したアミノ酸シャンプーがおすすめ。
市販品を購入するときは、以下の成分が配合されているかチェックしてみてください。
- ラウロイル〜
- ココイル〜
髪を保湿するには、シャンプーの洗浄成分に注意する必要があります。
「高級アルコール系」など洗浄効果が強いシャンプーは、毎日使うとキューティクルにダメージを与えかねません。
洗浄力がマイルドなシャンプーで、しっかり泡立てて洗うことが大切なんですね。
(参考:シャンプーの界面活性剤は体に悪い?洗浄成分で見極めるやさしいシャンプーの選び方)
また、シャンプー後はトリートメントやコンディショナーを使うのも欠かせません。
潤いや栄養を補給することで開いたキューティクルを整えて、ツヤやハリを取り戻してくれます。
②丁寧にタオルドライ・ブラッシングする
入浴後は濡髪にダメージを与えないように、丁寧なタオルドライとブラッシングをしていきましょう。
水気を取るときは、「タオルでポンポンとたたく」「髪をはさみこんでプレスする」のがポイント。
髪の毛をこすったり、ガシガシ拭かないように注意してください。
(参考:【タオルドライの正しいやり方】どのくらいやる?何分以内に始める?詳しく解説)
タオルドライ後は、無理に引っ張らず毛先からゆっくりとブラッシングしていきます。
ブラシは地肌を傷つけない、毛先の丸いクッションブラシがおすすめです。
髪が絡まっている場合は、ブラッシング前にやさしく手ぐしでほどくのを心がけましょう。
その後、目の粗いコームやブラシでとくとダメージを抑えられますよ。
ヘアオイルやヘアクリームで保湿
ドライヤーの前後にヘアオイルやヘアクリームを使うのも、髪の保湿に効果的。
ヘアオイルは油分が主成分なので、しっとりした仕上がりに。
ヘアクリームは油分と水分を混ぜ合わせたものなので、比較的軽い仕上がりになります。
- ヘアオイル:保湿・艶出し効果
→ダメージ毛・くせ毛 - ヘアクリーム:補修・潤い効果
→パサつく・広がりやすい髪
上記のように
「仕上がりや髪悩みに合わせて選ぶ」
「タオルドライの後にヘアオイル、ドライヤーの後にヘアクリームと使い分ける」
など、自分に合った方法で取り入れてみてください。
③ドライヤーで正しく髪を乾かす

タオルドライや保湿が終わったら、できるだけ早くしっかり乾かすように心がけるのも重要。
下記の手順で、”熱を分散させながら乾かす“のを意識してみてください。
- 髪から20㎝以上離した場所から風をあてる
- 髪の根本・内側から毛先に向かって乾かす
(耳上・えりあしはは乾きにくいのでしっかりと) - 左右からかわるがわる前髪を乾かす
- 全体に冷風をあてて髪の毛の熱をとる
かならず温風は20㎝以上離した状態で、手首を振ってドライヤーを使いましょう。
髪の1か所に温風をあて続けないよう、ドライヤーを振るのがポイントです。
特にロングヘアの方は毛先から乾かしがちですが、根本から乾かすのが正しい手順ですよ。
仕上げに冷風に切り替えて熱を冷ますのが、美髪を保つコツ。
冷風を当てることで開いていたキューティクルが閉じ、ツヤツヤに仕上がりますよ。
キューティクルとは、髪の表面を覆っている保護膜のようなもの。
外部刺激から毛髪内部の組織を守り、髪のツヤやコシを保つ役割をしています。
ただしキューティクルはドライヤーの熱やブラシの摩擦など、日常のちょっとした習慣で傷つきやすいもの。
髪トラブルを予防して美髪になるには、毎日のヘアケアを見直すことが大切です。
- 頻繁なヘアカラーやパーマ
- 高温のドライヤー・ヘアアイロン・紫外線の熱
- 自然乾燥など、こすれによる摩擦
【保護するヘアケア手順】
- シャンプー・トリートメントで髪の内側と外側を保湿する
- 丁寧なタオルドライとブラッシングをする
- ドライヤーを正しく使う・きちんと乾かす
入浴中・お風呂上りはとくに髪をやさしく扱ってあげることが大切。
正しい手順でケアすることで、髪に潤いをしっかりと補給しましょう。
毎日コツコツと丁寧なヘアケアをすることで、ツヤ髪を維持できますよ。