「食品添加物は危険で体に悪そう」
「どこからどこまでが添加物?全て危険なの?」
などと思っている方も多いのではないでしょうか。
「食品添加物=悪い」というイメージを持つ方が多いですが、それも昔の話。
現在では安全性が確認され、正しい知識があれば摂取しても問題ないんです。
今回は食品添加物の安全性や役割、種類について解説。
正しい知識を身につけて、食品添加物と上手につきあっていきましょう。
【この記事で分かること】
- 食品添加物とは?添加物の定義は幅広い!
- 食品添加物の危険性は低い。毎日摂っても影響なし
- 主な食品添加物10種類を一覧で紹介
- 成分表で記載される添加物の表示例。非表示OKな添加物もある!
Contents
食品添加物とは?身近な食べ物・アルコールにも入っている
食品添加物とは、食品の加工や保存、味付けのために使われるもの。
豆腐・マーガリン・ハムといった身近な食品をはじめ、ジュースやアルコール飲料にも入っていますよ。
食品添加物は、化学調味料のような「合成品」・動植物からとれた「天然品」の2種類に大きく分けられます。
例えば梅干しを赤くするシソの葉は、天然の添加物です。
また以前は、合成添加物だけが食品添加物として指定されていました。
現在は「天然・合成」に関係なくすべて食品添加物と指定され、以下のように分類されています。
※タップ・クリックで「日本食品化学研究振興財団」の品目リストに移動します。
指定添加物 | 厚生労働大臣が指定した添加物(合成品) |
---|---|
既存添加物 | 天然添加物(天然品) |
天然香料 | |
一般飲食添加物 |
既存添加物は、厚生労働大臣が使用してよいと定めた食品添加物。
クエン酸・アスパルテームなどがあり、天然・合成品の両方が含まれます。
既存添加物は国内での長い使用実績に基づいて、例外的に使用・販売等が認められている天然の添加物。
カカオ色素・ カフェイン(抽出物)などが含まれます。
天然香料は、実や花などで香りを付ける目的で使用されるもの。
動植物から得られる天然のもので、添加量としてはごくわずかです。
バニラ香料・スペアミントなどが挙げられます。
一般飲食添加物は、一般的な飲食に供されている添加物。
イチゴジュースや寒天などがあります。
食品をおいしく長持ちさせる燻製や塩漬けも食品添加物の例。
食品添加物はここ最近のものではなく、昔から知恵として食べ物の加工に使われていたんですね。
食品添加物は危険って本当?身体への影響は?

冒頭でお伝えした通り、食品添加物の危険性は極めて低いです。
厚生労働省は、食品添加物の安全性について食品安全委員会による評価を受け、人の健康を損なうおそれのない場合に限って、成分の規格や、使用の基準を定めたうえで、使用を認めています。厚生労働省
食品添加物は、食品安全委員会*によって安全性が評価されています。
(*国民の健康と食品安全を守る内閣府の機関)
科学的な実験などを用いてヒトへの影響を確かめているので、食品添加物だからといって気にしすぎる必要はありません。
添加物に悪いイメージがついてしまったのは、高度成長期に起こった健康被害。
化学薬品製造会社の周辺で、手足のしびれや難聴などの症状(水俣病)が多発しました。
そのため化学物質に不信感を持たれたというワケです。
現在は企業側も環境や食品の安全性に配慮し、私たちが気兼ねなく食事できるように努めています。
適量であれば、食品添加物がはいった食品を毎日食べ続けても体に悪影響はないとされているほどです。
もちろん“そのまま摂取”すると体に悪影響な添加物もありますが、基本的には製造の過程で除去されていますよ。
食品添加物の役割・メリット7つ

そもそも添加物は、主に食品の腐敗や風味が落ちるのを防ぐ役割をしています。
- 食品の保存力の向上
- 食品の品質低下の防止
- 味付けや風味づけ
- 防カビ、雑菌
- 食品の食感をよくする
- 食品の形をつくる、形崩れを防ぐ
- 食品の栄養成分を補う
日本は湿気が多く、食べ物が腐りやすい気候。
食品添加物を加えることで、食中毒などの減少に大きく貢献しています。
例えばハムやソーセージといった食品は腐りやすいですが、添加物のおかげで日持ちするんですね。
また、味付けや栄養成分を補う目的もあります。
みなさんが毎日おいしく食品を食べられるのも、食品添加物のメリットなんですね。
【無添加と食品添加物の選び方】
すぐに食品を消費しないなら、無添加食品よりも添加物が入った食品の方が向いています。
無添加食品は保存料や安定剤がはいっていません。
食品が傷みやすくなったり雑菌が繁殖しやすくなったりします。
また添加物がはいった食品よりも、無添加食品の方が安全という科学的な根拠はなし。
暑くて湿気が多い時期や、すぐに全部食べ切れないようであればフードロスも防げますね。
【食品添加物の種類一覧】種類ごとの効果を簡単に解説

食品添加物のカテゴリーは20種類以上、添加物の登録品目数は400種類以上。
(令和2年6月18日現在)
多くの種類があるので、ここでは代表的な添加物を10のカテゴリーに分けて紹介します。
種類 | 目的 | 添加物例 |
---|---|---|
甘味料 | 食品に甘味を加える |
|
着色料 | 食品の色味を調整する |
|
保存料 | 食品の保存性を高めて食中毒を予防する |
|
酸化防止剤 | 食品の酸化を防いで保存性を高める |
|
酵素 | 食品の製造や加工に使用する |
|
香料 | 食品に香りをつける |
|
増粘剤 安定剤 | 食品に粘り気を与えて安定性を高める |
|
防カビ剤 | かびの発生を防ぐ |
|
調味料 | 食品にうま味などを与える |
|
乳化剤 | 水と油を均一に混ぜあわせる |
|
甘味料はキシリトールなどをつかい、お菓子や飴などに甘みをくわえる添加物。
アスパルテームは「カロリーカット」とうたっているお菓子でよく見かけます。
見た目の「おいしさ」と食欲を増進させる着色料は、ソーセージやハムなどに含まれていますよ。
増粘剤は、食品の形を安定させるのに必要な添加物です。
豆腐やプリンなどは、増粘剤できれいな形になっているんですね。
保存料は食品に微生物(カビ)が繁殖するの防ぐ役割があるので、高温多湿な日本には欠かせません。
注意すべき添加物!アレルギーが出るものもある

以下の添加物は健康を損なう恐れがある添加物として、厚生労働省がメーカーや製造業者に自粛を呼びかけています。
完全に除去されていない恐れもあるので、注意してください。
- OPP、OPP-Na
- TBZ
- ジフェニル
- イマザリル
- 亜硝酸ナトリウム
- 赤色2号
- ブチルヒドロキシアニソール
- 次亜塩素酸ナトリウム
また天然の食品添加物によっては、アレルギーを誘発する恐れも。
上述したように、動植物による天然成分も添加物として定義しています。
食物アレルギーがあると、天然の添加物に反応する可能性もあるんですね。
食物系のアレルゲンに反応する方は、天然の食品添加物も合わせて確認してください。
(≫アレルゲンの確認方法を知りたい方はコチラをタップ)
食品添加物で影響がでる摂取量
身体に影響が出る食品添加物の摂取量は、添加物の種類や摂取する人の体重・身長によって異なります。
そのため一概に「これだけ摂ったら危険」と言えません。
とはいえ通常の食事で摂取する1日分の食品添加物の量は、摂取許容量の1%以下。
1日の食事量を今より100倍以上に増やして、やっと許容量を超えるかどうかです。
また食品に使われる添加物は、カラダへの影響を検証して使用基準を設定。
生涯にわたって毎日摂取しても影響のでない量を確かめて配合されています。
もちろん過剰摂取は良くありませんが、普段からバランスよく食べていれば問題ないでしょう。
【食品添加物の表示例】食品購入の際にチェック

食品添加物の表示名と種類がわかっていれば、どんな添加物が使われているかチェックできますよね。
代表的な添加物の表示例を確認しておきましょう。
種類 | 表示例 |
---|---|
甘味料 | 甘味料(サッカリンNa) |
着色料 |
|
保存料 | 保存料(安息香酸Na) |
酸化防止剤 | 酸化防止剤(エリソルビン酸Na) |
酵素 | 酵素 |
香料 | 香料 |
増粘剤 安定剤 |
|
防カビ剤 | 防かび剤(OPP) |
調味料 | 調味料 (アミノ酸、核酸、有機酸など) |
上記の表示は、パッケージの原材料名/調味料に記載があります。
「できるだけ着色料は避けたい」
「素材本来の味わいや風味を楽しみながら、気になる添加物だけ避ける」
など、上手に食品添加物を選び分けていきましょう。
食品添加物のなかには非表示にできるものもある

食品添加物のなかには、表示が免除されているものもあります。
- 加工助剤
⇒活性炭、水酸化ナトリウムなど - キャリーオーバー
⇒せんべいにしようされる醤油の保存料など - 栄養強化剤
⇒ビタミンD3、L-メチオニン
加工助剤は、食品を製造する過程で除去されたり中和されたりします。
食品にほとんど残らないものなので、非表示になるんですね。
キャリーオーバーは原料に含まれる添加物ですが、微量で効果・副作用がないものです。
そして栄養強化剤は、食品の栄養を補う目的の添加物。
ビタミンやアミノ酸といった健康維持に欠かせない成分なので、表示が免除されているというわけです。
表示の免除に該当する添加物かどうかは、管轄の保健所で確認できます。
アレルギーが出る添加物があれば確認してみてください。
アレルギー物質は分かりやすく表示される
逆にアレルゲンを含む添加物は、次のようにわかりやすく表示されます。
- 〇〇を含む
- 〇〇由来
〇〇の部分は【卵、小麦、乳】といったように表示されるので確認しやすいですよ。
表示が免除される添加物でもアレルゲンの表示は義務化されているので、安心してくださいね。
食品添加物は、危険なものではありません。
保存性を高めたり品質低下を防いだりと、食品を美味しく長持ちさせるには欠かせない存在です。
- 食品の保存力の向上
- 食品の品質低下の防止
- 味付けや風味づけ
- 防カビ、雑菌
- 食品の食感をよくする
- 食品の形をつくる、形崩れを防ぐ
- 食品の栄養成分を補う
また“無添加食品”の方が安全という根拠はないんですね。
添加物の有無ではなく、「どのようにおいしく食べたいか」を基準に選ぶことが大切。
食品添加物を上手に取り入れて、毎日の食生活を豊かにしていきましょう。
参考文献
一般財団法人 日本食品添加物協会,
『よくわかる食品添加物』
厚生労働省,
『食品添加物』
味の素株式会社,
『ホントに知っていますか?食品添加物のこと』
大阪教育大学,
『食品添加物』
