近年、社会問題として「食品ロス」が注目されています。
実は日本全体の食品廃棄量の半数近くが、一般家庭から生まれているってご存知でしたか?
ただ普段の生活の中で、食品ロスの悪影響を感じることが少ないのも事実。
「食品ロス対策でどんなメリットがあるの?」
「普段の生活で食品ロスに貢献できるの?」
など、いまいち実感が湧かない方も多いでしょう。
そこで今回は、食品ロスの原因や問題点をわかりやすく解説。
もちろん、家庭でできる食品ロス対策方法まで紹介しています。
将来のためにも、まずは普段の生活で取り組める対策を知っておきましょう。
【この記事で分かること】
- 食品ロスの原因は企業だけじゃない!家庭の食べ残しも原因1つ
- 食品ロス対策は家庭でもできる!アプリや通販サイトも登場
- 企業は賞味期限の延長などでフードロス対策に取り組んでいる
食品ロスとは?どこからフードロスが発生している?

食品ロスとは、まだ食べられるのに廃棄なってしまう食品が出ること。
食品ロスが拡大している主な原因は、以下の通りです。
企業 | ・「外観品質基準」に適さない食品は廃棄対象 ・保存整備や加工整備の不足 |
小売り・飲食店 | ・規格変更・規格外などによる廃棄 ・売れ残り |
家庭 | ・買い溜め ・食べ残し |
小売りや飲食店の売れ残りや、家庭の買い溜めによる廃棄・食べ残しがイメージしやすいでしょう。
さらに食品の製造工程でも、いわゆる「規格外商品」が食品ロスの一因になっていることも。
市場で出回る商品には、「外観品質基準」という品質基準が設けられています。
出来あがった商品の色や形を一定に揃えるルールで、基準に沿っていないと廃棄対象になってしまうんですね。
食品ロスは企業~個人まで、暮らしに密接した問題といえるでしょう。
【食品ロスによる影響・問題点】食糧不足や環境問題にも関係アリ

食品廃棄量が増えることで、様々な問題が起こります。
- 食糧が必要な国に食糧が行き渡りにくくなる
- 食品廃棄時に発生する温室効果による地球温暖化
- 食品の生産で生じる資源・食材のムダづかい
まず製造された食品は、日本をはじめとする先進国に集中して輸入されます。
大量生産された食品が先進国に集まることで、行き渡りにくくなる国がでるんですね。
食糧が集中することで食べきれずに廃棄される食品は、埋め立てたり燃やしたりして処分。
その際に、地球温暖化の原因ともいわれる二酸化炭素が発生します。
また食品の製造には石油の使用や流通といった、多くのエネルギーやコストが必要です。
食品ロスが増えると、それだけ製造にかかったエネルギーやコストが無駄になります。
食糧が必要な地域に行き渡らないという倫理的な問題はもちろん、食糧不足や環境問題にもつながるため、食品ロスの削減が課題になっているんですね。
食品廃棄量の世界ランキングで日本は第6位…

日本人の一人当たりの年間食品ロスの量は、なんと世界で第6位。
アジアではワースト1位という、目を伏せたくなる結果です…。
具体的にみると、事業と一般家庭では約半分の割合で食品ロスが発生しています。
- 事業系の食品ロス:5割弱
※飲食店やコンビニなど - 一般家庭の食品ロス:4割弱
2つをあわせると、食品ロスの量は日本だけで年間612万トンという現状。
世界的にも日本は食品ロスワースト上位だからこそ、必要な分だけ買う、食べ残しをしないなどの食品ロス対策が必要です。
令和元年に食品ロス削減推進法を施行
日本で食品ロスが問題視されることから、令和元年10月1日に「食品ロス削減推進法」が施行されました。
法律では、食品ロス削減月間を設けたり、賞味期限を延長したりといった取り組みが定義されています。
また一般消費者に向けて、食品ロス削減レシピの発信なども実施。
法律自体は施行されてまもないですが、日本は本格的に食品ロス対策に乗り出しているんですね。
食品ロス対策で家庭でできること4つ
食糧不足や環境問題を防ぐためにも、家庭で取り組めるフードロス対策を知っておきましょう。
- 食品ロスアプリを活用する
- 廃棄フードの通販サイトで食品を購入する
- 食品の使い切りレシピで食品を使い切る
- 買い溜めを控えて、保存方法を工夫する
食品ロスアプリを活用する

最近登場した専用アプリで食品を購入すると手軽に食品ロス問題に取り組めます。
食品ロスアプリでは、加盟店で余ったパン・お菓子・食材などを格安で購入OK。
割引率はアプリによって異なりますが、定価の3割引〜5割引ほどで購入可能です。
またアプリによっては月額料金で食事ができたり、お店の料理をテイクアウトできたりもしますよ。
お店の食品ロスを支援できるだけでなく、食費の節約にも役立ちますね。
AppストアやGoogleplayで「食品ロス アプリ」と検索してみてください。
廃棄フードの通販サイトで食品を購入する

食品ロスを減らすには、フードロス専門の通販サイトの利用もおすすめ。
専門通販サイトでは、製造の過程で弾かれてしまった廃棄フードを格安で取り寄せ可能です。
食品ロスアプリは一般的な小売店の商品が多いですが、食品ロス通販サイトはご当地グルメやギフト食品が多い傾向。
普段食べられない食品を格安で食べられ、その地域の食品ロス対策の応援にもなって一石二鳥ですよ。
毎日のおやつなどを、フードロス通販サイトで取り寄せてみるのもいいでしょう。
食品の使い切りレシピで食品を使い切る

レシピアプリなどを活用して、食品を無駄なく使い切るのも食品ロス対策になります。
- 冷蔵庫レシピ献立アプリ
- クックパッド
例えばクックパッドの「消費者庁のキッチン」では、余った食品を使い切る専用レシピが紹介されていますよ。
おかずになるレシピだけでなく、麺類やスイーツなどバリエーションも豊富。
「食材がいつも余ってしまう」という方は、一度チェックしてみてください。
買い溜めを控えて保存方法を工夫する

食品の取り寄せや料理方法だけでなく、普段の買い物や保存方法を工夫するのも食品ロス削減に欠かせません。
- 安売りだからと買い溜めしない
- 余ったら傷みにくい冷凍で保存する
- 食べ物を寄付するフードバンクを利用する
大前提として、使い切れる量の食材を買うようにしましょう。
万が一食材が余ってしまったら、保存の効きやすい冷凍保存がおすすめです。
また贈答品などが余った場合は、自治体に食べ物を寄付するフードバンク*を利用するのもあり。
*食品関連会社・一般企業や一般家庭より寄贈された食品等を集め、寄付する制度。
寄付した食品は、高齢者や生活困窮者に贈られます。
捨てられてしまう食品が誰かの役に立ちますよ。
企業の食品ロスに対する取り組み

企業や環境省では、食品ロスに対して次のような取り組みが進められています。
- 納品期限の緩和
- 消費期限の延長
- 賞味期限の日付部分の切り捨て
- フードシェアリングの展開
- 賞味期限間近の商品をアウトレット価格で販売
- 余った食品を福祉施設などへ提供
環境省ではフードロスに伴い、納品期限の緩和や賞味期限の延長を企業に呼びかけています。
食品アプリや通販サイトに加盟する「フードシェアリングサービス」の展開も広がっているんですよ。
賞味期限が近い商品は割引価格で販売し、売れ残りを防ぐ対策をショップごとでも実施。
お店によっては余った食品を施設に提供し、ボランティに貢献しています。
自治体も「食べきり運動ネットワーク協議会」を設けて、自治体ごとで食品ロス対策を打ち出しているんですよ。
今回お伝えしたように食品ロスの原因の半数近くは、わたしたち消費者によるもの。
食べ残しや余った食品の廃棄が、食糧不足や環境問題に影響を与えています。
毎日の買い物量や食材の使い方を見直して、食材の廃棄量を少しでも減らす取り組みが大切です。
- 食品ロスアプリを活用する
→月額無料で利用OK!
アプリによっては月額料金制やテイクアウトなどのサービスあり - 廃棄フードの通販サイトで食品を購入する
→ご当地グルメやギフト食品を格安で取り寄せできる - 食品の使い切りレシピで食品を使い切る
→「冷蔵庫レシピ献立アプリ」「消費者庁のキッチン」な余りもの専用献立を提供 - 買い溜めを控えて保存方法を工夫する
→使い切れる量だけ買う・フードバンクを利用するなど心がける
食品を購入する際は、フードロス対策のためのアプリや通販サイトをチェック。
食べられるのに廃棄になる食品を、オトクに購入できます。
企業も食品ロスへの取り組みが進んでいるので、わたしたちも出来ることから始めてみましょう。
【参考文献】
農林水産省,
『環境ロスとは』
