「毎日シャンプーしているのに、頭がかゆい」とお困りの方も多いのではないでしょうか。
実は季節に関係なく、頭皮のかゆみに悩まされているのは2人に1人と言われているほど。
そこでこの記事では、今すぐ何とかしたいかゆみの原因と対策をご紹介します。
あわせて繰り返さないための予防方法も解説。
正しいケアを学んで、頭のかゆみから開放されましょう。

やさしい美容皮膚科・皮フ科 秋葉原院 院長
宇井千穂 先生
2019年 やさしい美容皮膚科・皮フ科 秋葉原院 開院
開院前は銀座のクリニックにて、美容診療を診察。
また皮膚科医として、アトピー性皮膚炎を中心とした皮膚疾患を診療する。
本や雑誌の執筆をはじめ、web雑誌での連載やサプリメント・化粧品の監修など、多方面で活躍中。
一人ひとりのことを考えた真摯な診療が厚く支持されています。
》「やさしい美容皮膚科・皮フ科 秋葉原院」公式サイト
》Blog
【所属学会・認定医など】
【著書】
- かもがわ出版「18トリソミーはるの」
- 南山堂・治療「シネメデュケーション:映画医療教育」連載 など
頭皮のかゆみの原因4つ
毎日きちんと洗っていても皮脂バランスが崩れるとかゆみを招きます。
まずは頭皮の状態を理解することが、改善への第一歩です。
ここからは、頭皮のかゆみの原因を詳しく解説していきます。
- 間違ったケアによる乾燥
- 汗や皮脂汚れ
- 外的な刺激
- ホルモンバランスの乱れ
乾燥による水分不足、皮脂の過剰分泌
かゆみの原因で1番多いのが、頭皮の乾燥。
頭につっぱり感を感じたり、カサカサしたフケが出ていたりする方は要注意です。
水分を保つための適度な皮脂がないと、頭皮が乾燥してしまいます。
刺激に対するバリア機能が低下し、敏感になった肌がかゆみを感じてしまうんですね。
下記に当てはまる方は、乾燥によってかゆみが起こっている可能性が高いです。
- 1日2回以上の洗髪
- 洗浄力の強いシャンプーの使用
- 熱湯で洗い流す
- 空調の効いた部屋に長時間いる
- 紫外線に直接あたることが多い
- ストレスが多い
- 感染症である
また乾燥状態だと頭皮バランスを保つために、余計に油分を出すこともあります。
ベタついていても、上記に当てはまっているなら”隠れ乾燥”を疑うべきでしょう。
(関連:髪が油っぽいときの応急処置と改善方法!シャンプーしてるのにベタつく原因とは?)
汗、皮脂の洗い残し・毛穴詰まりによる雑菌の繁殖
毛穴汚れによる雑菌の繁殖も、かゆみの原因の1つ。
- 髪を乾かさない
- 汗をよくかく
- シャンプーのすすぎは1分未満
- 頭皮の病気(感染症など)
- ホルモン分泌
- ビタミン代謝の異常
- 皮脂腺の機能異常
上記に当てはまる方は、毛穴汚れがきちんと落とせていない可能性大です。
汗や皮脂が毛穴詰まりを起こした頭皮は、汚れをエサに雑菌が繁殖します。
雑菌が増えすぎた頭皮は、ターンオーバー※が乱れた状態。
※古い皮膚が剥がれ落ちて、新しい皮膚と入れ替わる仕組みのこと。
本来は剥がれない健康な表皮がフケのように落ちてしまい、刺激を直に受ける状態になってしまいます。
脂っぽいのにヒリヒリするなど、痛みが出ている場合は注意してください。
(関連:頭皮のターンオーバーがトラブルを解決する!髪と地肌を健やかに保つヘアケアと生活習慣を解説)
紫外線や花粉アレルギーなど外的なダメージ
当然、直接的な外部刺激も頭皮のかゆみにつながります。
意外と見落としがちなのが、紫外線によるかゆみ。
肌が焼けるとヒリヒリするように、頭皮も紫外線を浴びると炎症を起こします。
炎症が起きていなくても、日焼けして熱を持つと水分が蒸発して乾燥し、かゆみが出ることも…。
また花粉症やカラー・パーマ剤など、アレルギー反応によって炎症・かゆみを起こすこともあります。
季節によるものか、体質によるものかも把握しておくと、ケアする期間や方法の手がかりになるはずですよ。
女性特有のホルモンバランスの乱れ
ホルモンバランスの乱れもかゆみの原因の1つです。
生理中は肌がデリケートになるように、頭皮もデリケートな状態。
少しの刺激がかゆみに繋がりかねません。
特に産後は大きくホルモンバランスが変わり、免疫力も低下します。
髪が抜けることはよく知られていますが、同時に頭皮がムズムズかゆくなる方も多い傾向です。
自然現象なので、ケアしながら自分の身体とつき合っていくことが大切です。
【補足】男性ホルモンの頭皮への影響
男性ホルモンであるアンドロゲンは、皮脂の生産を担っています。
ホルモンバランスが乱れ、男性ホルモンが過剰になると皮脂も増加。
湿性のフケを促し、マラセチア*などの菌が増殖することがあります。
*皮膚に存在する常在菌の1つ。皮脂を好み、過剰に増える事で皮膚炎を起こす。
赤い湿疹(ニキビ)・赤み・フケ・臭いがでたら要注意
かゆみ以外に湿疹や赤みなどの肌トラブルが起きたら要注意です。
- 湿疹、ぼこぼこ
- 生え際の赤み
- カサカサorベタベタした湿っぽいフケ
- 嫌な臭い
たとえば「表面がぼこぼこしていたら外用薬を塗る」など、すぐにセルフケアしてください。
炎症がひどいときは皮膚科(医療機関)への受診が最優先
ただし症状が激しいときは、セルフケアよりも皮膚科への受診を最優先してください。
- 我慢できないかゆみ
- ジュクジュクした発疹
- 広範囲の赤み
- 大きなしこり
- ベタベタした湿っぽいフケ
- セルフケアで改善しない、悪化している
たとえばベタベタしたフケは脂漏性皮膚炎の可能性があり、慢性化することも…。
かゆみや炎症が続いている場合は、そのままにしてると抜け毛になることもあります。
また、1週間セルフケアをしても改善されない・症状が悪化したら、すぐに受診してください。
頭皮のかゆみを防ぐセルフケア3つ
頭皮のかゆみが気になったら、正しいセルフケアで改善しましょう。
- シャンプーの種類を肌に優しいものに変える
- ローションで保湿する
- 市販薬のかゆみ止めを塗る
シャンプーの種類を見直す
シャンプーは毎日行うので、肌に合ったものを選ぶことが大事です。
脂性肌 | 高級アルコール系シャンプー |
乾燥肌・混合肌・敏感肌 | アミノ酸系シャンプー |
乾燥しているなら、洗浄力がやさしいアミノ酸系シャンプーを選びましょう。
必要な皮脂を残して頭皮の油分バランスを整えてくれます。
反対に脂性肌の方は洗浄力の強いアルコール系シャンプーがおすすめ。
毛穴に詰まった皮脂をしっかり落としてくれます。
特にハードな整髪料を使う方は、しっかりと洗浄できるシャンプーを選ぶのが重要です。
保湿ローションで水分を保つ
特に頭皮のかゆみの原因が乾燥なら、保湿ローションで潤いを補給しましょう。
保湿することで肌が潤ってバリア機能が整い、かゆみが落ち着きます。
使い方は、タオルドライ後に頭皮にローションをなじませるだけでOK。
実感力を求める方は、下記の保湿成分が含まれているローションを選んでみてください。
- ヒアルロン酸
- コラーゲン
- セラミド
保湿をしてもかゆみがおさまらない!という方は、かゆみ止め成分の入ったローション剤を利用しましょう。
かゆみに効果的な成分は以下の通り。
- ピロクトンオラミン
- グリチルリチン酸ジカリウム
- メントール
特に清涼感のあるメントール入りのローションなら、スーッとしてかゆみもおさまりやすいですよ。
ローションをつけた後の頭皮マッサージがおすすめ
ローションをつけたついでに、マッサージで血行促進させましょう。
頭皮に血がめぐることで、かゆみから守るバリア機能が高まります。
- 生え際を中心に10ヵ所ほど馴染ませる
- 指の腹で地肌全体を優しく押さえ、浸透させる
- 生え際から頭頂部にかけて指圧する
- 円を描くように地肌をもみあげる
ポイントは指の腹を使いながら、頭皮に浸透させるようにマッサージすること。
ローションがなじみやすくなるだけでなく、リフトアップ効果も期待できます。
ただし、かゆいからといって爪で頭皮を掻くのはNG。
頭皮が傷ついて乾燥し余計かゆくなるので注意してくださいね。
市販薬を塗って応急処置する
強いかゆみを感じている場合は、市販薬の使用も検討してください。
「炎症が起きているけど、病院へ行く時間がない…」
「かゆいけど他に症状がないし、受診するべきなのか迷う…」
という方は、応急処置として市販薬に頼るのもアリです。
選ぶ時のポイントは以下の4つ。
- ステロイドの有無
- 患部に塗りやすいか
- 液だれしないか
- アレルギーは起こしていないか
特にステロイドは作用が強い分、使用方法などに制限があるので注意してください。
ステロイド外用薬の局所性副作用(塗った部分に現れる可能性のある副作用)としては、次のようなものがあります。
<ステロイド外用薬の主な局所性副作用>
・皮膚の萎縮
・毛細血管の拡張(特に顔面に起こりやすい)
・酒さ様皮膚炎、口囲皮膚炎、紅潮
・乾皮症(肌の乾燥)
・感染症の誘発、悪化
医薬品は薬剤師さんに相談して、容量・方法を守って使ってくださいね。
「頭かゆい!」を繰り返さないために予防が大事
正しいケア方法を身に着けて、かゆみをぶり返さないことも大切。
根本的な改善を目指すために、下記2点をチェックしておきましょう。
- 正しいシャンプーの手順を守る
- 食事や睡眠の改善、紫外線対策などライフスタイルを見直す
正しい方法で洗髪する
正しい方法でシャンプーするのが、頭皮のかゆみを予防する1番の方法。
下記を参考に、シャンプーを髪につける前後の手順もチェックしてください。
- ブラシでとかす
- 素洗い
- 手のひらにシャンプーを広げる
- 頭皮にまんべんなくいきわたらせる
- 指の腹で優しく洗う
- しっかりすすぐ
まずはしっかり髪を梳かしてから、38℃前後のお湯でしっかり洗い流しましょう。
整髪料をつけている場合は、手ぐしでほぐしておくとブラシが通しやすいですよ。
素洗いのあとは、手のひらにシャンプーを広げて頭皮をまんべんなく洗っていきます。
頭の裏側、耳後ろは汚れがたまりやすいので注意してください。
もちろん、最後にしっかりとすすぐのも忘れずに。
泡のすすぎ残しがあると、毛穴詰まりにつながって本末転倒です。
正しいシャンプーの手順を覚えて、頭皮のかゆみをしっかり予防していきましょう。
洗髪後の「ドライヤーの乾かし方」も重要
頭皮のかゆみ防止には、ドライヤーの乾かし方も重要です。
長時間頭皮が濡れたままだと雑菌が繁殖して、かゆみの原因になりかねません。
自然乾燥せず、「髪を洗ったら、しっかり乾かす」のも習慣づけるようにしましょう。
- 髪の水分をふき取る
- 根本から乾かす
- ドライヤーを小刻みに振る
頭皮の乾燥が気になる場合は、熱風の当たる時間を短縮するのがポイント。
マイクロファイバーやキッチンペーパーといった吸水性の高いアイテムで、しっかりとタオルドライしましょう。
また全体の80%ほど乾いたら、冷風に切り替えるのもオススメです。
≫【ドライヤーの選び方】4つのポイントで失敗しない!仕上がりに差をつける乾かし方も解説
基本的な生活習慣を見直す
一見関係のないように思いますが、基本的な生活習慣の見直しが根本的なかゆみ改善に繋がります。
- 食事
- 睡眠
- ストレス
- 紫外線対策
今の生活と照らし合わせて、見直すべき部分はあるか考えてみてください。
かゆみだけでなく頭皮の悩みも改善しますよ。
亜鉛・タンパク質・ビタミンAを意識した食事を摂る
頭皮のバランスを整えるには、亜鉛・タンパク質・ビタミンAを意識して摂取しましょう。
タンパク質は、頭皮の生成に欠かせない必須アミノ酸が含まれています。
亜鉛は、タンパク質の効果を最大限に引き出す成分。
タンパク質が頭皮や髪に変わるのを助けてくれます。
ターンオーバーを促進し、かゆみや乾燥を改善するビタミンAも積極的に摂取するべきでしょう。
逆に注意したいのは糖質・油物です。
皮脂の分泌が盛んになって毛穴がつまり、かゆみの原因になります。
ナッツ類・チョコレート、ポテトチップスなどは、ほどほどに控えましょう。
寝室の環境を整えて質の良い眠りにつく
頭皮の環境を整えるには、質の良い睡眠をとることが大事です。
下記を心がけて、ぐっすり眠れる環境を整えましょう。
- 深夜0時までには寝る
- 寝る直前はスマホやテレビを見ない
(ブルーライトに当たらない) - 寝室の室温、湿度、香り、暗さに配慮する
逆に睡眠不足だと、新陳代謝が低下してかゆみに繋がります。
(出典元:新百合丘総合病院『睡眠について(全編)~睡眠の役割~ホルモンバランスの調整』)
できる限り環境を整えて、睡眠の質を高めるように意識しましょう。
運動・ヨガ・笑う…ストレスを溜め込まない
ストレス発散も頭皮環境を整えるのに重要なポイント。
ストレスによるイライラは、かゆみを引き起こすヒスタミンを分泌します。
なるべくかゆみ成分を作らないよう、上手にストレスを解消しましょう。
上記を参考に、自分に合った方法でうまく発散させてくださいね。
春先からの紫外線対策を習慣づける
頭皮の乾燥や炎症によるかゆみの予防には、紫外線対策も欠かせません。
下記のような日焼け防止アイテムを使って、頭皮の日焼けを避けましょう。
- UVスプレー
- 通気性の良い帽子
- 日傘
UVスプレーは頭頂部までしっかりスプレーするのがポイント。
帽子は蒸れてかゆくなる可能性があるので、通気性のいい素材を選んでください。
ちなみに紫外線は春ごろから強くなってきます。
夏じゃないから大丈夫…と油断せずに、早めの対策を心がけましょう。
頭皮のかゆみは早く対策することで、その分早く改善します。
放っておかずに気になったらすぐセルフケアを始めましょう。
頭皮のかゆみに効果的な対策は以下の通り。
- 乾燥しやすい方は洗浄力の優しいアミノ酸シャンプーに変える
- シャンプー後の保湿ローションをつける
- 症状に合わせて市販薬をつける
我慢できない頭皮のかゆみと炎症は、すぐに受診してください。
また一度良くなったと思っても、頭皮のかゆみは繰り返しがち。
頭皮の環境を整える毎日の予防も大事です。
シャンプーやドライヤーの当て方・生活習慣を見直して、かゆみのストレスから解放されましょう。
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男女兼用で使えるので、ぜひ1度お手に取ってみてください。
参考献文
国立循環器センター病院,
『栄養に関する基礎知識』,
2018‐05‐15
日本睡眠研究所,
『良い睡眠の条件』,
2019
辻村, 肇; 黒木, 勇介; 大平, 哲也; 松村, 雅史,
『口腔咽喉音による笑いの長時間モニタリングとストレス低減効果』,
2015-07-31,大阪電気通信大学研究論集: 自然科学編,第50号,p21‐51
村田奈緒,子中川千春,監修:毛髪鑑定士美香,
『美髪力!1日10秒で「キレイ」な私』
双葉社,2019,9,15
得丸 定子, 名嘉 一幾, 小城 勝相,
生化学評価と心理尺度を用いた瞑想効果の検討,
一般社団法人
日本家政学会研究発表要旨集/62回大会(2010年)
