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シャンプーの界面活性剤は体に悪い?洗浄成分で見極めるやさしいシャンプーの選び方

シャンプーの界面活性剤は体に悪い?洗浄成分で見極めるやさしいシャンプーの選び方アイキャッチ

「界面活性剤は髪や地肌に悪い」と思ってはいませんか?
実は界面活性剤にもさまざまな種類があり、”全てが悪い”というわけではありません。
「自分の肌質や使いやすさに合わせて、どんな成分を選ぶか」が大事です。

今回は、肌質・仕上がり別に自分の合うやさしいシャンプーの選び方を解説します。
納得できるシャンプー選びをしたい方は、ぜひ参考にしてみてください。

【この記事で分かること】

  • 界面活性剤=悪いは思い込み!頭皮や髪の汚れを落とす必須成分
  • 界面活性剤《不使用》のシャンプーは市販にほぼない
  • 肌質によって合う/合わない界面活性剤の種類が違う
  • 髪や肌を守りたいなら、アミノ酸系・ベタイン系を仕上がりで使い分ける

界面活性剤は「水と油を混ぜ合わせる」成分

界面活性剤の汚れを洗い流すメカニズムそもそも界面活性剤とは、水と油を混ぜ合わせる成分のこと。
(出典元:Kao 花王株式会社「界面活性剤とは?」

よく界面活性剤は体に悪いと言われますが、それは間違い。
化粧品や食品にも使われていて、安全性に問題はありません。

特にシャンプーに含まれる界面活性剤は、頭皮の皮脂汚れを落とすのに欠かせない洗浄成分です。

シャワーで髪をすすいだだけでは、頭皮の皮脂(油)汚れは水を弾いて落とせません。
そこで界面活性剤が、「皮脂をシャワーの水と混ぜ合わせる」という働きをしてくれるんですね。

ただし、一般的な市販シャンプーに入っている界面活性剤は洗浄力が強いのがネック。
体質や髪質によっては、頭皮や髪を洗いすぎてダメージを与えてしまう恐れも…。

とはいえ、種類によって洗浄力の強さも変わります。
自分にあった界面活性剤のはいったシャンプーを選べば、ダメージの心配なくしっかり頭を洗えますよ。

界面活性剤不使用のシャンプーは市販にほぼない

界面活性剤は洗浄成分のため、不使用のシャンプーはほぼありません

というのも、シャンプーの成分中で一番多く含まれているのが水と界面活性剤だから。
水が50~70%、次いで界面活性剤が30~40%と大部分を占めています。

つまり、界面活性剤が含まれていないシャンプーを探すのは至難の業。
あっても、洗い粉か石鹸のようなものになります。
泡立ちにくく使用感もあまり良くないため、試しても通常の市販のシャンプーに戻す方がほとんどです。

だからこそ頭皮や髪に負担をかけないためには、界面活性剤にこだわってシャンプー選びをするべきなんですね。

界面活性剤の種類は天然・合成の2つ

界面活性剤は大きく分けて、天然・合成の2種類
天然界面活性剤は、私たちの身体の中にも存在しています。

  • 天然界面活性剤」…自然界に存在する成分
    (石けん系・アミノ酸系・ベタイン系)
  • 合成界面活性剤」…石油などの原料で人工的に作られた成分
    (高級アルコール系)

それぞれの界面活性剤のメリット・デメリットを確認しておきましょう。

髪・頭皮への負担を考えるなら、おすすめは【天然界面活性剤】

髪・頭皮ダメージを考慮するなら天然の界面活性剤がおすすめ肌が弱い方や乾燥しやすい方、髪に負担を掛けたくない方は「天然界面活性剤」を選びましょう。

詳しくは後述しますが、石けん系・アミノ酸系・ベタイン系の洗浄成分が天然界面活性剤に含まれます。

区分メリット デメリット
天然・頭皮、髪への刺激が少ない
・保湿力がある
・敏感肌、ダメージ毛も使える
・泡立ち、洗浄成分がマイルド
・界面活性剤が頭皮に残りやすい
合成・ハードスプレーなどの整髪料が落としやすい
・べたつきをスッキリ落とせる
・カラーやパーマの落ちが早い
・髪や頭皮への刺激が強い

天然界面活性剤は、洗浄力がマイルドなのが特徴。
頭皮の保湿に必要な皮脂をしっかりキープできるので、洗いすぎることがありません。
「頭皮が乾燥してかゆい」「敏感肌」という方でも、やさしく汚れを落としてくれます。

またしっとりした仕上がりで、ダメージ毛やロングへアの方にもおすすめです。

ただ天然界面活性剤は、肌に残りやすい性質に要注意。
しっかり4~5分ほどシャワーで洗い流しましょう。
丁寧にケアすれば、その分髪や頭皮にかえってきますよ。

合成活性剤の出番は「ハードな整髪料を使用した時」

合成界面活性剤は、汚れが落としづらい時にピンポイントで使うのがオススメ。

  • 梅雨や夏場に汗をかいて頭皮がベタつく
  • ハードスプレーやワックスなど、落としにくい整髪料を使用した など

天然成分は洗浄力が弱いだけに、整髪料やそれに付着した汚れを落としきれていない可能性があります。

2度洗いしたり何度も擦ったりする必要があり、頭皮や髪に優しいシャンプーを使っているはずがかえって負担になることも…。

シャンプーは界面活性剤別に、ヘアスタイルやその日の髪の状態によって使い分けるといいでしょう。

【洗浄成分別】肌質に合う界面活性剤を探そう

普段づかいのシャンプーは、”肌質に合わせたやさしいモノ”がベストです。
ラベルやボトル底にある洗浄成分に注目してみてください。

洗浄成分は大きく4つに分けられ、メリット・デメリットによって合う肌質が違います。

※タップ・クリックでスクロールします。

ここからは洗浄成分ごとに、頭皮や髪への効果を解説していきます。

脂性肌向け:高級アルコール系

高級アルコール系のシャンプーは脂性肌・ハードタイプの整髪料を使う方向け
洗浄力強い
刺激比較的強い
メリット・買いやすい
・泡立ちが良い
・洗浄力が高い
デメリット・パサつき、きしみやすい
・カラー、パーマが落ちやすい
おすすめの方・脂性肌
・強固な整髪料をつけている
向かない方・カラー
・ダメージ毛
・ロングヘア
・敏感肌

高級アルコール系は、髪がべたつきやすいなど脂性肌ぎみの方にオススメ。

成分表に、「硫酸Na」と記載されていれば間違いありません。

  • ラウレス硫酸Na
  • ラウリル硫酸Na

高級アルコール系最大のメリットは、界面活性剤の中でも洗浄力が強いこと。
他のシャンプーでは落としにくい、頑固な皮脂や整髪料もラクに洗い流せます。

ドラッグストアやスーパーで手軽に手に入って、価格が安いのもポイント。
CMで見かける商品はほとんどが、高級アルコール系なんですよ。
※500~1,000円くらいのシャンプーはアルコール系がほとんど。

ただし毎日使っていると、髪が硬くなる・ごわつくリスクがあるのも覚えておきましょう。

合成タンパク質は髪のタンパク質を変化させやすい作用を持っているため、パサつき・ごわつきやすくなります。

アニオン性界面活性剤やCTAB (Cetyl Trimethyl Ammonium Bromide) のようなカチオン性界面活性剤は変性作用をもち、タンパク質・タンパク質間の相互作用を破壊してタンパク質を変性させます。

(出典元:サーモフィッシャーサイエンティフィック『界面活性剤の特性と種類』

アウトバストリートメントを使ったり、他の天然界面活性剤系のシャンプーと併用したりするなど、工夫して頭皮や髪を守るのを心がけてみてくださいね。

普通肌向け:石けん系

石けん系のシャンプーは普通肌・健康毛方のに向いている
洗浄力サッパリ
刺激比較的優しい
*乾燥肌は注意
メリット・洗浄力が高い
・多くが添加物不使用
・環境に優しい
デメリット・パサつき、きしみやすい
・カラー、パーマが落ちやすい
オススメの方・普通肌
・健康毛
・ショートヘア
向かない方・乾燥肌
・乾燥性の敏感肌
・カラー、パーマ
・ロングヘア

普通肌でシンプルな仕上がりにしたい方に向いているのが、石けん系。

以下の成分が入っていれば「石けん系のシャンプー」です。

  • 石けん素地
  • カリ石ケン素地
  • 脂肪酸ナトリウム
  • 脂肪酸エステル

石けん系と言っても、手や体を洗う石けんとは違うモノ。
石けんを原料としたシャンプーで、固形・液体タイプの2種類があります。

天然の界面活性剤ですが、アルカリ性で洗浄力が強いことが特徴。
毛穴につまった皮脂の汚れをすっきり洗い流してくれます。

天然素材など、シンプルな成分で作られているのもポイント。
シリコンが入っていない商品がほとんどなので、ボリュームアップさせたい方・ハリコシがほしい方にもおすすめです。
(参考:シリコンとは?ノンシリコンシャンプーのメリット・デメリットと選び方

ただ「ヘアカラーやパーマが落ちやすい・髪が乾燥しやすい」というデメリットも…。
石けん系を使うなら、シャンプー後にヘアオイルなどでしっかりケアしてくださいね。

敏感肌向け:アミノ酸系

アミノ酸系のシャンプーは肌・髪に刺激が少ないから敏感肌も使える
洗浄力しっとりマイルド
刺激少ない
メリット・地肌、髪に優しい
・頭皮の皮脂バランスを整える
・保湿力がある
・環境に優しい
デメリット・泡立ち洗浄力がマイルド
・頑固な皮脂や汚れは取り入れない場合がある
・残留しやすい(すすぎ残しやすい)
・高価なものが多い
オススメの方・敏感肌、乾燥肌
・カラー、パーマ
・ダメージ毛
・ロングヘア
・広がりやすい髪
向かない方・脂性肌
・整髪料

アミノ酸系シャンプーは、敏感肌で頭皮や髪が傷みやすい方にオススメ。

成分表の先頭から5番目以内に以下の表記があれば、アミノ酸系シャンプー。
「ココイル〜」「ラウロイル〜」という表記を探しましょう。

  • ラウロイルメチルアラニンNa
  • ラウロイルグルタミン酸TEA(またはNa)
  • ココイルグルタミン酸TEA(またはNa)
  • ココイルアラニンTEA(またはNa)

※他に「アミノ酸成分を含みます」「アミノ酸系」など、「アミノ酸」と入った言葉が目印です。

アミノ酸系は必要以上に皮脂を取りすぎず、皮脂のバランスを良い状態に整えてくれます。

アミノ酸系界面活性剤のようなマイルドな界面活性剤。

(出典元:ライオン(株)ビューティケア研究所「シャンプーの化学」

頭皮への刺激が少ない上、パサつき・枝毛などのダメージケアもOK。
またカラーやパーマのもちもよくなるので、髪のオシャレを楽しみたい方に向いています。

ただし泡立ちがマイルドなので、擦りすぎやすすぎ残しに要注意です。
指の腹でマッサージするように丁寧に揉み込み、しっかり流すようにしてください。

ちなみに、泡立ちにくいときは洗顔ネットで泡立てるのもオススメですよ。

ダメージケアを優先するなら「アミノ酸タウリン系(天然界面活性剤)」

髪や頭皮のダメージケアをするなら、「アミノ酸系タウリン系」がオススメです。

基本的に、「~タウリン」と表記されています。

  • ココイルメチルタウリンNa
  • ラウロイルメチルタウリンNa

タウリンは栄養ドリンクにも含まれ、『細胞膜の安定化や体を正常な状態に保つ』役割を持っています。

タウリンは,興奮収縮連関に関わるイオンの取り込みや放出,細胞膜損傷の抑制,抗酸化ストレス,浸透圧調節など,骨格筋の様々な生理的応答に関わることが示唆されている.

(出典元:J-STAGE「運動時の疲労および運動後の疲労回復に対するタウリン摂取の効果」

アミノ酸系とよく似た成分ですが、きめ細かい泡立ちでスッキリ洗えるのがタウリン系のメリット。
またアミノ酸系よりもふんわり仕上がるので、ボリュームを出したい方やパーマヘアの方には特におすすめです。

【※補足】アミノ酸シャンプーとアミノ酸タウリン系との違い

アミノ酸シャンプーと分類されていることもありますが、成分的には違います。
「アミノ」と言う名前がついていますが、アミノ酸の特徴を示すアミノ基(-NH2)を持っていません。

とはいえ「肌への刺激がやさしい」「パサつきを改善する」など、アミノ酸系のようなメリットも持ち合わせています。

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乾燥肌向け:ベタイン系

敏感肌で髪ダメージが心配な人はベタイン系がおすすめ
洗浄力しっとりマイルド
刺激少ない
メリット・赤ちゃんも使える
・目に入ってもあまりしみない
・保湿、髪の補修作用
・パサつき防止
・環境に優しい
デメリット・値段が高い
・どこでも種類豊富に販売されていない
・洗浄力がマイルド
オススメの方・敏感肌、乾燥肌
・ダメージ毛
・カラー、パーマ
・ロングヘア
合わない方・脂性肌
・整髪料

頭皮が乾燥しやすい方は、ベタイン系シャンプーがおすすめです。

ベタイン系の成分が一番最初、 もしくは水の次に来ているものを選ぶようにしましょう。
以下のように「〇〇ベタイン」と表示されています。

  • コカミドプロビルベタイン
  • ラウロイルプロビルスベタイン 
  • ココアンホ酢酸

「ベタイン」とは、 砂糖大根(ビート)由来の植物が主成分のシャンプー。
オール植物性由来で赤ちゃんに使えるほど肌に優しく、目に入ってもあまりしみないくらい低刺激です。

アミノ酸系よりももっちりした泡立ちで、使いやすいのがメリット。

さらに、植物の保湿力で髪を補修する作用もあります。
ダメージで広がった髪をしっとりまとめてくれるので、カラーや紫外線でダメージを受けた髪におすすめです。

ただ洗浄力自体はやや弱めなので、シャンプー前にブラッシングしたり、しっかりお湯で汚れを落したり、工夫して使ってみてください。

自分に合ったやさしいシャンプーは【仕上がり】で選ぶ

特に肌が弱い方の場合、髪や頭皮に優しいシャンプーの中でどれを選んだらいいのか迷ったら、使用感と仕上がりをポイントにしましょう。

種類使用感仕上がり特徴
アミノ酸系泡立ちがマイルドさらさら・サラ艶髪
・髪の健康を守る
ベタイン系もっちりした泡立ちしっとりダメージを修復

《さらさら・ツヤ》髪ならアミノ酸系

アミノ酸系はサラサラの仕上がり。髪を痛めにくいから、カラー・パーマのモチがよくなる髪や頭皮の傷みを予防して、サラサラな仕上がりを目指すなら、アミノ酸シャンプーを選んでみてください。

アミノ酸系の中でも、グルタミン酸アラニン・グリシン配合のものがおすすめ。

  • グルタミン酸
    →アミノ酸系の中でも指通りがよい
    →泡立ち&洗浄力は弱め
    (時間をかけてケアできる方)
  • アラニン・グリシン
    →比較的泡立ちがよく洗いやすい
    →忙しい平日に使いたい方

指通りを重視するならグルタミン酸、ツヤ髪やカラーリングのキープをしたいならアラニン・グリシンと使い分けてみてください。

ふんわりヘアはタウリン系がおすすめ

髪の毛がペタッとなってボリュームが出にくい方、パーマヘアの方におすすめなのがアミノ酸タウリン系
ふんわりとした柔らかな仕上がりになります。
カラーの退色も抑えてくれるので、パーマ×カラーをしているならタウリン系がベターです。

《しっとりまとまり》を良くするならベタイン系

繰り返すパーマやカラーなどのダメージヘアは、痛みを修復するベタイン系がおすすめ傷んで広がってしまった髪やごわつきを修復するなら、ベタイン系のシャンプーがおすすめです。

ベタイン系は他のシャンプーとは違う両面界面活性剤という種類。
手触りを良くしてくれる性質・洗浄力を兼ね備えています。

  • 洗浄性の高いアニオン(陰イオン)界面活性剤
  • リンス成分であるカチオン(陽イオン)界面活性剤

泡立ちがいいので、しっとりした洗い心地・使用感を求める方にも向いているでしょう。

美髪をキープする秘訣はどんな界面活性剤を選ぶかが大事。
界面活性剤はなんとなく「悪い」というイメージが先行していますが、汚れを落とすめには必要な成分です。

特に髪と肌に優しいものは、美髪キープに欠かせない存在。
選びたい成分は以下の3つです。

  • アミノ酸系…カラーをしている、サラ艶髪にしたい方
  • タウリン系…パーマをかけている、髪をふんわりさせたい方
  • ベタイン系…髪が傷んでいる方、ダメージの補修もしたい方

界面活性剤は、他の活性剤と組み合わせて泡立ちや保湿力など機能性を向上させているものがあります。

成分で見分けることが難しければ、美容院や信頼できるオーガニック系ショップ・サイトを利用するのもいいでしょう。
特に紫外線などのダメージを受けた髪や敏感肌の方は、やさしい界面活性剤で頭皮と髪を守ってくださいね。

【参考文献】

Accelerating Science LATB Staff,
『タンパク質実験に使用する界面活性剤の特性と種類』,
界面活性剤の特性と種類(2020.03.04)

新実 温 ライオン(株)ビューティケア研究所,
『シャンプーの化学(生活の中の化学)』,
1997 年 45 巻 2 号 p. 75-78

高橋 祐美子, 八田 秀雄,
『運動時の疲労および運動後の疲労回復に対するタウリン摂取の効果』,
シンポジウム28,2020 年 69 巻 1 号 p. 127

ABOUT ME
eriko
1986年生まれ。地元は浅草の江戸っ子。 10年間エステサロンに勤務し、店長としてトータルビューティーの施術やアドバイスを行う。 「ナチュラルな美しさの追求」「正しい美容情報の発信」をモットーに、日々の情報収集は欠かしません。 日常のケアでお悩みの方のお役に立てるよう、こだわりのコンテンツを作成しています!